【開催レポート】鹿児島の豊かな未来を考える
「かごしま語っ場―2023」Vol.2
~ イタリアに学ぶ海岸沿いストーリー ~


「かごしま語っ場―2023」の開催レポートVol.1に続き、今回はVol.2をレポートします。

 

政所顕吾さん ~ イタリアに学ぶ海沿いストーリー ~

 


イタリア生活を通して感じたこと

 

二人目の登壇者は建築家の政所顕吾さん。世界的国際都市・東京や文化遺産都市ローマで18年間の経験を通して、鹿児 島ならではの建築や都市の在り方をライフワークとしています。

中学生の時、初めて目にしたローマのコロッセオに衝撃を受けて建築を目指すきっかけになったとか。建築家となったのちは、京都、東京、そしてローマで建築に携わり、さまざまなプロジェクトや都市計画に関わりつつ、プライベートも充実していたというユーモアを交えた自己紹介から始まりました。

イタリアでの生活や、さまざまな美しい街々を訪れてバカンスを楽しむなかで、政所さんはそれぞれの特徴的な街並みには歴史や地理的な文脈がとてもうまく反映されていて、そこに住む人たちは自分たちの町に大きな誇りを持っている、と考えるようになりました。そうして、鹿児島ならでの街づくりや建築のあり方を追求してきたいと思うようになり、昨年9月に鹿児島に帰ってきました。

鹿児島にもどってからは、ドルフィンポート跡地の街づくりや県立美術館の可能性に関する提案をするなどの活動をしています。

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イタリアに学ぶベイサイド・ストーリー

 


イタリアでの都市計画等に関わった経験から、鹿児島市の海沿いにフォーカスして、お話が進みます。
火山、海、そして街並み。鹿児島とナポリは風景、そして、湾、市街地、丘という地理的な成り立ちも、そして距離感までとてもよく似ています。

でもこの2都市には大きな違いもあります。ナポリかは、「港と船」「ホテル街と遺跡」「公園と遊歩道」「夜景とレストラン街」など、各区画にテーマがあり、アトラクションとさまざまな風景があふれた海沿いとなっています。

これらの風景を都市計画の観点からみてみると、「港湾物流エリア」「旅客ターミナルエリア」「クルーズ船・観光船エリア」「ホテル・レストラン街エリア」「公園と遊歩道エリア」「ビーチエリア」「マリーナエリア」と海沿いならではの魅力がとても大切にされ、整然と整備・配置されています。

また、ほとんど交差点を横切ることなく、この湾岸エリア一帯をずっと自由に歩いていける道路が続いているということです。つまり、海沿いの各エリアを、整備された道路のお陰でひとつながりの海沿いストーリーとして体験できるのです。

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鹿児島のベイサイドは?

 


ナポリとほぼ同じ地形、スケールをもつ鹿児島。鹿児島の海岸沿いには「仙巌園・磯エリア」「祇園之洲エリア」「桜島フェリー」「本港区エリア」があります。しかし残念なのは、海沿いを歩いて楽しめるエリアがつながっていない点です。ナポリの海沿いのアトラクションの面的な広がり、線的なつながりを見たとき、鹿児島との違いは一目瞭然です。
このように、鹿児島の海沿いは、

・物流・旅客の港湾機能と商業・エンタメ・文化施設などの都市施設などが分散している。
・遊歩道・公園・カフェ・レストラン街・リゾートホテルなど、海沿いならではのアトラクションが少ない。
・上記のアトラクションがひとつながりのストーリーとして体験できない。

といった課題が見えてきます。

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鹿児島におけるベイサイドの課題

 


見て、歩いて、体験しないと気付かないことは数多くありますが、政所さんのお話を聞いて、鹿児島に住む外国人が、
「鹿児島市は海沿いにあるのに、その良さが生かされていなくてとてももったいない。道路を走っていてもそのすぐ脇に海があることに気づけない。こんな素晴らしいものを生かせていないのは、自然や観光資源を無駄にしているってことだ。」
と言っていたことを思い出さずにはいられませんでした。

ナポリの海沿いと、鹿児島の海沿い。地理的にも距離的にも似通っているけれど、そこに住む人にとって、あるいは旅行者にとって、海とのつながりを感じ、その景観や、風、きらめきをより楽しめるのはどちらかなんて言うまでもないのではないでしょうか?
政所さんは以下の質問を投げかけます。

― 鹿児島ならではの海沿い空間とはどういうものなのでしょうか?
― 鹿児島ならではの海沿い空間にとってどんなものが必要なのだろう?
― 鹿児島ならではの海沿いストーリーを紡いでいくにはどのようなインフラなどのが工夫必要でしょう?
― ひいては、どんな鹿児島ならではの海沿いであってほしいですか?

そう尋ねられた時、皆さんにはどのような鹿児島のベイサイドが見えてくるでしょう?

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課題解決の参考事例

 

上記の質問の答えを考えるにあたって、政所さんはこれまで鹿児島の街づくりになどに携わってきたことを参考として挙げました。
まず、海沿いストーリーのコンセプトふたつ

・ミーティング・ポイント
・スタ―ディング・ポイント

「ミーティング・ポイント」は、人々がいつでも憩い、集える場所。海沿いならではの潮風を感じながら自由に歩ける空間、そして、さまざまなイベントや文化活動を自由にできる空間。

「スターティング・ポイント」は、鹿児島ならではの風景を発信していく空間、海の玄関口として離島とつながり、クルーズ船を受け入れる場所、そして、この空間で育った人材を輩出していく場所。

人、空間、できごとが集い、鹿児島の魅力を発信することができる海沿い空間にすることをみんなで考えていきたい。
政所さんの考える、魅力あふれる海岸沿いの公園や遊歩道がイメージ画像とともに語られました。また、中規模、大規模な開発の際は、例えば、錦江湾の波、桜島のすそ野の水平線、桜島にかかる雲や噴煙など、鹿児島の海沿いならではの共通のキーワードをもとに建築のデザイン、建物のスカイラインなど風景をトータルコーディネートする計画も必要なのではないかといった提案もしているそうです。

政所さんの提案する海沿いストーリーには、「仙巌園・磯エリア」を、「歴史・教育ゾーン」、「祇園之洲・石橋公園エリア」を、「文化・教育・芸術ゾーン」、「ウォーターフロントパーク・本港区エリア」を商業的なエンターテインメントエリアとして定義づけし、開発の際にも今ある港湾機能を最大限維持する、そういったエリアを確保する。そういうふうに、今あるエリアを、歴史的文脈や地理的文脈を生かしながらゾーンごとに再定義しなおすことも大切なのではないだろうかと話したうえで、政所さんの考える各エリアのヒントがスライドで示されました。

 

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政所さんから参加者へのグループ・ディスカッション課題

 


― 鹿児島ならではの海沿いストーリーには何が必要でしょうか? また、どんな鹿児島ならではの海沿いであってほしいですか?

今回も、先ほどと同じそれぞれのグループがさっと輪を作り、ディスカッションに入りました。

鹿児島に生まれ、暮らしてきた私たちにとっては、かつては美しい海岸が広がっていた錦江湾沿いが埋め立てられ、工場が立ち並び、すぐそこに海があることを意識しないで暮らすことが当たり前になっていることを、話し合いの中で気づく人も多かったようです。

おそらく「知ること」が最初の一歩になるのだという意見や、鹿児島が変わっていくためには、より多くの人が鹿児島の現状に気づき、より美しく暮らしやすい鹿児島に変えていくための教育も必要だという意見も出ていました。

現状に甘んじることなく、「ここが変われば」というアイディアも、知識や気づきがなければなかなか生まれない。だからこそそんな機会をもつ人々が増えることを願わずにはいられません。

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交流会

 



第2部の交流会は、今年もマルヤガーデンズの屋上階にあるガーデンズテラスさんのおいしいお料理がたくさん並びました。
また、参加者の皆さんは、当協議会の顧問や理事が差し入れた毎年人気のワイン、ビール、ソフトドリンクの中から思い思いにコップに注いで、暖かい部屋でくつろぐ人たち、風の吹く屋外で楽しい話に花を咲かせる人たちとさまざまでした。
最後にみんなで記念撮影。

また、来年もお会いできたらうれしいです。
そして、今回は都合がつかなかったけど、また参加したい、あるいはこの次は参加してみたいと思っておいでの方、次こそどうぞお越しください。

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関連記事;【開催レポート】鹿児島の豊かな未来を考える「かごしま語っ場―2023」Vol.1 ~ 鹿児島で「Keiyirする」 ~
 

 

 

 

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