今年も「かごしま語っ場―」が盛況のうちに終了しました!
リピーターの方々にも親しんでいただいている当イベントは、鹿児島の未来について真剣に話し合い、そして、美味しい料理と飲み物を囲んで、初めて出会った人との交流を深めたり、旧交を温めたりといったことを通して楽しむ、ベクトルが未来に向いているイベントです。
++++++++ 目 次 ++++++++
ニコール・エーラーズさん「鹿児島でケイヤする」
南アフリカのコミュニティ文化「ケイヤ」
鹿児島のケイヤ・スポットを求めて
鹿児島の現状とケイヤ・スポット
地域の中のケイヤ・スポット
ニコールさんから参加者へのグループ・ディスカッション課題
第一部は、当協議会の中尾会長のあいさつ、久保理事の会の進め方の説明のあと、ゲストスピーカーによる10分~15分のキーノートスピーチと、ゲストスピーカーが参加者に投げかける「お題」を少人数グループで話し合うグループ・ディスカッションが行われます。。今年はお二人のゲストスピーカーにお話しいただきました。
第二部は、バイキング形式のお料理や飲み物を楽しみながら、好きな席で、話したい人たちと自由に歓談。出会いたかったご縁がつながったとの声も聞かれる交流会です。当協議会の顧問や理事が、毎年人気のすばらしいワインやビール、ソフトドリンクを寄付するので、参加費以上のオイシイ思いができるのも魅力です。
第一部でお話しいただいた今年のゲストスピーカーは、ニコール・エーラーズさんと政所顕吾さんのお二人でした。
ニコール・エーラーズさんは、南アフリカ共和国出身で鹿児島純心大学講師を勤めています。彼女は日本各地を旅して新しい文化を学ぶ一方、ここ鹿児島においては各地で南アフリカの文化や料理を紹介するボランティアを行ってきました。
政所顕吾さんは、世界的国際都市・東京や文化遺産都市・ローマなどでの18年間の建築家としての経験を通して、現在は鹿児 島ならではの建築や都市の在り方をライフワークとし て追究しています。
お二人のお話は、今まで気づかなかったことを気づかせてくれる個性あふれるものでした。
Kuier(ケイヤ)。耳慣れない言葉ですが、南アフリカではとても一般的な言葉だそうです。
ケイヤは、ずっと居たくなる第3の場所。カジュアルでリラックスでき、継続的にコミュニティにつながるような空間のことだとか。自宅(第1の場所)と職場(第2の場所)の間に位置し、人々が過ごし、アイディアを交換し、楽しい時間を共有し、人とつながる、そんな場所がケイヤです。
南アフリカでは、そこに人々が集い、知らない人同士が打ち解け、フレンドリーな雰囲気で過ごすのだそうです。それは、誰かの家だったり、レストランだったり、パブだったりし、そこで、出会ったり、話したり、一緒に飲んだりする。そういった場所を「Good Kuier Spot(良いケイヤ・スポット)」と呼びます。
ニコールさんは、来日後、鹿児島市でも良いケイヤ・スポットを探したそうです。美味しい料理、美味しいお酒、魅力的な内装。素敵な場所はいくつか見つけたけど、定期的にコミュニティとつながれる空間はほとんど見つけられなかったとか。
甲突川リバーフェスティバルや長月桜まつり、各地で催される夏祭り。それらもとても楽しめるのに、それぞれ年に一度しか開催されない。この雰囲気を一年中作り出すには?
そして、居酒屋やレストラン、カフェがこのような第3の場所になり得るには?
オンライン上では多くの人が何らかのコミュニティで会話を楽しんでいるけれど、本当のコミュニティを築くためのシンプルで効果的かつ日常的につながれる場所は、やはりデジタル上ではなく物理的に存在する場所だと社会学者レイ・オルデンバーグ氏は指摘しています。
鹿児島の居酒屋やレストラン、カフェがこのようなケイヤ・スポットになるためにはどうしたらよいのでしょうか?
以下がケイヤの特徴です。
いかがでしょうか?
我が家のように寛げて、会話が中心にある場所、知らない同士が気軽に話し、交流する場。その点では、仲間うちでかたまり、他のグループと交流しない鹿児島の一般的なレストラン、カフェ等は「ケイヤ・スポット」とは呼べそうにありません。
また、言語や食の多様化も「良いケイヤ・スポット」には欠かせません。メニューが読めなかったり、ビーガンやハラールの人々が食べられるものがなかったりしたら、「ケイヤ・スポット」の「敷居が低い」「だれにでも公平」「だれにとっても入りやすい」点をクリアできていないからです。
例えば、メニューの写真を店先に掲示する、「Tempura soba」というメニュー名に簡単な説明を添える、食材を記載するなどの工夫で、日本語を読めない人にとって敷居がぐっと下がります。また、食の多様性にも気を配っていただければと思います。
地域の小中学校を利用したコミュニティのスポーツ活動も盛んにおこなわれているようだけど、ニコールさんにはこのようなグループに足を踏み入れるのは容易ではないように感じられるそうです。まず、それらのグループの情報の入手が外国人には困難なうえ、メンバーの紹介や知り合いが口利きをしてくれないと入れない、そんなふうに感じられるとか。
それでもスポーツを通した活動は理想的なケイヤ・スポットになり得ると思います。「アクセスしやすく、雰囲気がフレンドリー」「だれにとっても入りやすい」、それにはグループ自体の雰囲気だけでは不十分で、言語の壁を越えた情報提供も必要なようです。
第三の場所を見つけることは、個人の努力だけでなく街づくりの鍵でもあるとニコールさんは続けます。地元住民も外国人も、個人の集団として生き残るのではなく、コミュニティの一員として生きていくことが、鹿児島の将来にとって不可欠だと思うと。
― 鹿児島のケイヤ・スポットはどこでしょうか? ―
ニコールさんからのこの課題について、4人~6人ほどの各グループでディスカッションしました。どのグループも初対面同士が多いなか、すぐにディスカッションが始まり、15分制限時間ぎりぎりまで活発にそれぞれが考える「鹿児島のケイヤ・スポット」について意見を交わしていました。
馴染みのカフェ、公園など、それぞれが考える鹿児島のケイヤ・スポットを出し合い、新たな発見などもあったようです。
これをお読みの皆さんも、だれにとっても居心地のよい鹿児島のケイヤ・スポットを探してみてください。そして、鹿児島にそのような場所が増え、市民レベルで性別、肌の色や、宗教等を超えた交流が当たり前にできる日がくることを願いたいと思います。
関連記事:【開催レポート】鹿児島の豊かな未来を考える「かごしま語っ場―2023」Vol.2 ~ イタリアに学ぶ海岸沿いストーリー ~
タグ : 2021年 , Free Wi-Fi , Nen , ねん , ひなまつり , アトリエ , エコバッグ , カフェ , ガーデン , クリスマス , ケーキ , コーヒー , フォーマル , フリーWi-Fi , 令和3年 , 公共無線LAN , 公共無線ラン , 千本いちょう , 春の木市 , 無 , 無料Wi-Fiスポット , 癒し , 秋 , 紅茶 , 紅葉狩り , 行楽 , 避難所 , 防災 , 雛祭り , 風呂敷 , 鹿児島