ブログ連載 [KICを支える経営者のみなさん-08]

沈壽官窯 代表取締役 十五代 沈壽官さん

 

鹿児島国際化推進協議会(以下KIC)の理事をなさっている十五代 沈壽官さん(以下十五代)は、KIC会長の川畑さんの早稲田大学の後輩。
その出会いは大学ではなく、大韓民国京幾道 金一萬土器工場への修業に向かう飛行機でたまたま席が隣り合わせになったというもの。そこに運命的なものを感じると考えるのは大げさでしょうか。

[十五代 沈壽官さんとKIC]
会長との出会いから一年余り。韓国での修業を終えて帰ってこられた十五代と会長は機内での約束を果たして再会。KICができた直後だったそうです。

十五代はKIC初のイベントを手掛けました。
鹿児島市民文化ホールの1,500人収容のホールが2,000人の観客であふれた「アジア民俗音楽交流会」です。胡弓と韓国の国学管弦楽団、そして蒲生郷太鼓坊主の演奏でなる音楽交流イベントでした。
これは、終戦後初の韓国との民間レベルの文芸分野における日韓交流を果たした蒲生郷太鼓坊主が十五代にイベント相談をしたことがきっかけで開催された催しです。
これに先立って蒲生郷太鼓坊主は韓国民俗村(ソウル市近郊)で行われた「蒲生雛太鼓坊主・コグマロード」で演奏、さらに、韓国の中央大学校音楽大学国学管弦楽団らと演奏交流会を開催。その際、韓国繋がりということで沈壽官窯が主催となり、蒲生郷太鼓坊主をバックアップしたそうです。

さらに、2003年に開館した鹿児島県民交流センター県民ホールのこけら落とし的イベントとなった劇団わらび座の『ツバメ』も十五代が手がけました。このイベントはわらび座社長より十五代に依頼がきたもので朝鮮出兵を扱ったストーリー。
この公演も手売りで超満席となったそうで、舞台挨拶に出てきた俳優らが観客の多さに圧倒されたという逸話が残っています。
もちろんその人気からもわかるように、どちらも大成功のイベントとなりました。

さて、劇団わらび座の公演の際、十五代が特別に招待した人々がいます。鹿屋市にあるハンセン病療養所に入所している在日朝鮮人の皆さんです。この方々の状況に配慮し、入退場をそっとずらしたり、公演後、温泉を楽しんでもらったりしたそうです。人前に出ることのなかった入所者の方々は公演を心から楽しみ、初めての温泉に感動し、帰りのバスに乗る前には十五代を抱擁し、泣いて感謝されたそうです。本職である陶芸のお仕事に加え、イベントの企画・運営・さらにはチケット販売とただならぬ忙しさだったのではないかと想像しますが、そんななか、祖国に帰れず、日本の片隅で療養所暮らしをされておいでの在日朝鮮人の方々に思いを馳せ、その方々のためのアクションを起こす。本当にすごい方なのだと思わずにいられませんでした。

十五代が手がけたイベント、そしてその中で行ったことなどなど、多くのお話をお聞きして、まさしく日韓の懸け橋として生きておいでなのだと感じました。日本と韓国の歴史を思うとき、その心の深さ、真摯な生き方に大きな敬意を覚えました。

[KICで印象に残っていること]
KICの思い出として今まで何度か挙がっていますが、十五代にとっても、やはり、ガーナ大統領をお迎えしたことが印象に残っているそうです。ご縁あっての大統領の鹿児島訪問。大統領の鹿児島視察と晩餐会をKICが主催したことはやはり忘れがたいことだとか。その中で、例えば空港で国賓をお迎えする際、一番に出迎えるのは運輸省の航空長などという、日常的には知りえないようなことを体験したことは、特に印象に残っているそうです。

[十五代 沈壽官さんの鹿児島おすすめポイント」
沈家伝世品収蔵庫(CHIN JUKAN MUSEUM)
沈壽官窯にある薩摩焼ファン必見の場所。希望者には音声ガイドを貸し出しており、英語・韓国語にも対応。
入場料500円(高校生以上)
圧倒されるような大きな作品や万博等に出品した際の珍しい賞状等、ここでしか見られない貴重な数々を堪能してください。
沈壽官窯では制作工程や登り窯の見学もできます。

奄美パーク
奄美大島にある奄美の自然、歴史、文化を紹介する「奄美の郷」と、奄美を描き続けた画家、田中一村の作品を収蔵する「田中一村記念美術館」からなる大型複合施設。
特に、一村に特化した美術館はおすすめ。

しょうぶ学園
鹿児島市吉野町にある社会福祉施設。障害を持つ人々の感性豊かな工芸、アート、音楽活動は国内外の注目を集めています。
学園内のカフェや蕎麦屋、パン屋には誰でも気軽に立ち寄ることができます。

 

 

 

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