多くの方々が楽しみにしていたイプシロンの打ち上げ、中止になりましたね。
次回打ち上げがいつになるかはまだ決定していません。
このイプシロンというのは小型人工衛星打ち上げ用固体ロケットだそうで、低コストや打ち上げの簡易さを徹底追求し、新たな発想で開発されたロケット。
今回は惑星分光観測衛星「SPRINT-A EXCEED」を載せて打ち上げる予定。
将来、商業衛星の打ち上げ市場への参入を目指しているとか。
その一号機の打ち上げ、関心が集まるのもうなずけます。
(この写真は「Love Kagoshima」というサイトを運営している吹留さんから借用しました。当日宮原一般見学上から撮影された写真です。)
私も高速を飛ばして内之浦に向かった一人です。
発射場から約2.8キロの「宮原一般見学場」の350台のは駐車枠は抽選で決められることになっていて、申し込みは7月中旬に締め切られ、その倍率はなんと27倍!
内之浦のある肝付町では宮原一般見学上のほかにも5か所の見学上を設置しており、日本中から見学者が集まりました。
昨日肝付町に集まった見学者は1万5千人。
できるだけ近くでロケットの発射を見たい。
でも、渋滞はいや。
そんなわがままを叶える場所を探すべく、岩川で高速をおり、269号線をを内之浦方面に向けて車を走らせました。
東串良町に入り、448号線を海岸沿いを走る道に右折する車が何台も続きます。
ほんの数分走ると道路沿いに何台もの車がとまっていました。
柏原海岸 (東串良町)。
この海岸の右側にせり出した岬の向こうから上って来るロケットがみえるはず。
打ち上げ地点までの直線距離はおよそ15km。
見渡す限り続く広々とした海岸に集まった人の数は100人強。
肝付町内だけでなく、しかも15kmも離れた場所でもこんなに集まるのだ、と驚かされました。
見たところ地元の人がほとんどらしく、なかには地元の子どもたちを連れた団体も。
打ち上げの時間までを波打ち際で楽しむ子どもたち。
海岸沿いの思い思いの場所でロケット発射の瞬間を待つ人たち。
涼しい潮風に吹かれながらあちらこちらに佇む人々がみな同じ方角を向いてじっとその瞬間を待っています。
空は美しく晴れ渡り、海は深い緑色を含んだ青。
繰り返す潮騒 、広々とした海岸線。
なんて幸せな風景。
そこにいる人々、空間のすべて、同じ方角を見てただ待つという行為そのものがなぜかとても愛おしく思え、それだけでものすごく満ち足りた気持ちになりました。
ロケット発射の瞬間に備え、左手のテントに集まった子どもたちから カウントダウンが聞こえてきました。
「10、9、8、7、6、5、4、3、2、1」
期待に満ちた元気な声が一斉に
「ゼロ!!」
と叫んで・・・。
でも、皆の視線の先には何の変化もない。
諦めきれない子どもたちが再びカウントダウンを終わらせてもやっぱり期待するものは見えてこない。
しばらくして、年配の男性が見ていた携帯電話をたたみながら、
「中止や。」
と言って立ち上がりました。
周りの人が一斉に
「え?」
と言ってその男性を振り返ります。
男性は再び
「中止やいげな」
と言って海岸と反対側にとめた車に向かって歩き出しました。
その声を合図に近くにいた男性が3~4人引き揚げて行きました。
諦められない男女がスマートフォンで情報収集しようとしています。
「役場の知り合いに電話すっで。」
と、そばに立っていた男性が携帯電話を取り出しました。
スマートフォンの男性が
「あ、中止だ。」
役場に電話した男性が、受話器に向かって
「ないな、中止になったとな。点火せんかったち。まこっな。」
そして電話を切ると、近くにいる人たちに親切に情報を伝えます。
「火がつかんかったち。」
中止が事実だと分かった人たちは特にがっかりした様子も見せず、一人また一人と海岸を後にし、子どもたちはまた波打ち際で水遊びを楽しみ始めます。
砂の上を上空を滑空する鷹の影が横切り、水際では餌を求める千鳥の群れが波と追いかけっこをしています。
私は波打ち際で裸足の足を波に洗われながら歩きました。
心地よく晴れた空の下、耳に心地よい波音としきりに髪や肌に吹き付ける潮騒。
来てよかったと思いました。
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