【ご報告】かごしま語っ場ー2015 その3

 

「かごしま語っ場ー 2015」の3人目のゲストスピーカーは、そのハイセンスでユニークな取り組みがひときわ注目されているレトロフトMuseo、レトロフトチトセのオーナー ・永井明弘さんです。

永井さんは上智大学法文学部卒業後、イタリアに渡り、ミラノ建築デザイン高等専門学校でイタリアの庭園デザインを学ばれ、庭の設計デザイン事務所「地中海庭園」の代表で造園家という顔もお持ちです。

レトロフト千歳ビルはもともと不動産賃貸業を営んでいらした永井さんのお父様のものだったそうですが、お父様が亡くなったあと、永井さんご自身の言葉をお借りすれば「しぶしぶ」ビルの運営業務を始められたそうです。

同ビルの2階の空きテナントフロアに奥様のアイディアでギャラリー「レトロフトMuseo」を開設したのは2009年。さらに2012年4月には1階に「レトロフトチトセ」を開設。個性豊かな古書店、カフェ、アトリエ、着物店、オーガニック食堂などが混在する「レトロフトチトセ」は、鹿児島の魅力をアートという視点から発信するとてもユニークな場所です。

27年前、イタリア留学に出発した永井さんが出会ったアムステルダム・スキポール空港の変な出入国管理官がその後の永井さんの生き方に影響を与えるとは、そのときはまったく思いもされなかったとか。

イタリア留学に訳あって飼っていたリトリバーを伴って行った永井さん。日本を出国する際、動物を連れての入国がいかに難しいか、いかにしっかりとそのための書類をそろえねばならないかをいやと言うほど聞かされた永井さんは、スキポール空港に降り立った際、かなりの覚悟を決めて入国手続きに。

ところが、高い椅子に座っていた制服制帽の管理官は、 永井さんが連れていたリトリバーを目にした途端、文字通り椅子から転げおり、犬と遊び始めたのだそうです!
しかも、「半端じゃない」遊びよう。犬と一緒に床を転げ回り、仕事なんかそっちのけ。日本で聞いてきた話とはまったく違うその様子に、永井さんは、
「もっとしっかりしてほしい。」
「書類だって苦労してせっかく準備してきたんだから。」
と呆れたそう。
無理にでも見てもらおうと、管理官の鼻先にパスポートを出すも、ほんの義理程度にちらりと見ただけ。やはり犬と遊ぶのに夢中だったとか。

その時は「あんなにきちっと制服制帽に身を包んだ出入国管理官が、こともあろうか犬と転げまわって遊ぶなんて」と冷ややかな気持ちで見ていた永井さんですが、実は、彼の与えた影響は大きかったと振り返ります。そして、その出入国管理官が犬と遊ぶのを見た経験が、レトロフトに生きているのだとか。

イタリア留学を経て、その出会いから27年経った今、ヨーロッパ人はなぜあんな行動をとるのかを考えたとき、日本人との違いが見えてきたそう。

ヨーロッパ人は頑張りすぎない。
一方、「日本人は頑張りすぎる、忠義すぎる」のだそう。

親への忠義、女だから料理を作らなくちゃいけない、男だから頑張らねば、経営者だから頑張らねば・・・。そんな風に、「『〇〇だから~~しなければ』に縛られているのを『ちょっと違う』と思うことと、そう言えることの違いは大切」と永井さん。

永井さんご自身は、「私はビルの代表でなく、偶然そうなった。レトロフト内であちこち回り歩いているから、周りに『ご隠居』と呼ばれている」と。そう言えるのは、ヨーロッパでの生活を通して「Citizen」という概念を身に付けたから。
「Citizen」は、共同体の政治的主体としての構成員を指す言葉。政治的主体だから自分の立場や肩書などにとらわれずに考えたことを言う。その反対が「封建領主」。

日本人はまわりの目を気にする傾向がある。
日本では「人様が見ている」と言う。
ヨーロッパでは「神様が見ている」と言う。

最後に、小説家であり、フランス文学者である辻邦夫の本の中から、あるお話を紹介されました。

フランスでの出来事。ある庭で妙な男がハンドルを抱いたまま、車の中で血まみれになっていた。
後部座席には大金の入ったバッグ。
すぐ警察に通報するようなシチュエーション。ところが、そこに居合わせたフランス人がしたことは、まず治療。とりあえず話を聞いて、もし悪者だったら通報しようと考えたそう。男を介抱し、話を聞いてみると、その男はスペイン内戦のためやむになまれず強盗を働いたのだという。

さて、このお話からあなたは何を感じるでしょうか?

 

永井さんのお話の後のグループディスカッションのお題は「こんな活動があるといいな、などのアイディアを出し合う」。
それぞれの立場で考え、それをシェアし合い、自分にできることについて考える時間を共有し、皆さん、さらにお互いの距離が縮まったようでした。

次回は、「語っ場ー」開催には欠かすことのできない交流会についてお伝えします。

 

 

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