災害と多文化共生Ⅰ ~ 災害時の外国人 ~

鹿児島市国際交流財団の事業実施委員会で、今回は少し趣向を変えて、講演会を実施されました。

ここで話された災害時の外国人支援は、鹿児島には確立されていないのではないかと思います。
それでも、個人レベルでできることがあるかもしれない。あるいは、一人でも多くの人に知ってもらうことで、変わってくることがあるかもしれない。そう思ったので、シェアしたいと思います。

題して「災害時から見る多文化共生」
講師は多文化共生マネージャー全国協議会理事の柴垣禎氏。

 

外国人が災害時の「要援護者」だと知る人も少なくないと思います。
今回の講演では、「災害時における外国人の立場」、「災害時の外国人の支援」、 そして、「地域における多文化共生」と、3つの視点から分かりやすくお話ししていただきました。

1.災害時における外国人の立場
「外国人は災害時の要援護者」となっていますが、なぜだかご存知ですか? 災害時、外国人は大変困難な状況に立たされるからだそうです。ここでは大きく二つに分けてその理由を話されました。

理由① ストック情報が日本人と異なる
まず、第一に知っておかなければならないのは、日本の常識は世界の常識ではないということ。日本人は、地震がどのようなものか、また、地震発生時にはどのように避難すればよいかを子どものころから避難訓練等で繰り返し学びます。ところが、世界的にみると、地震が起こる地域をいうのはごく一部。世界には、生まれてから死ぬまで地震を体験しない人たちが実に大勢いるのです。日本に観光で来た外国人、日本に住んでいる外国人にしても、一度も地震を体験していないという人は大勢います。そんななか、地震が起こったらどうでしょう?

1995年に起こった阪神・淡路大震災は、明け方の5時47分ごろ発生しました。話によると、大きなドーンと言う衝撃がまずあったとか。そして、夜が明けて戸外を見渡すと、倒壊した家やビル。複数個所から上がる煙・・・。迷彩色の制服を着た人々が、がれきの下敷きになった人々を助け出している。もちろん、自衛隊の救助作業です。しかし、地震を知らない外国人が見たら、この光景は何に見えると思いますか? 戦争。クーデター。爆発。テロ。ミサイル攻撃。そう考えても不思議ではありません。

理由② フロー情報(災害時の情報)が届かない
災害が起きて、自分の居住区域が危険だと判断されれば、避難所に行くことになります。日本人は、避難所がどこなのか、大概の人は分かっているのではないでしょうか? はっきり確認していなくても、近所の学校の体育館だったり、コミュニティセンターだったりという認識はあると思います。
しかし、外国人にはこのような情報が届いていないことが多いうえ、たとえ、偶然避難所の前を通りかかることがあっても、「避難所」という標記が日本語の漢字で書かれているため、気づかないことも。実際の震災の際、この辺りに避難所があると聞きつけてきた外国人も、「避難所」の表記を理解できないためにたどり着けなかったり、建物の前に来ても、本当に避難所なのかどうかわからず、入っていいかどうかの判断がつかないため、結局、車の中で寝泊まりしたという事実もあるそうです。

さらに、災害時の日本語が日ごろ使われている日本語と異なるという点。今回のお話の中で、私自身改めて驚いたのですが、災害時の情報伝達や掲示に使われる言葉は難解ですね。「給水制限」「罹災証明書」等は、ある程度、日本語で会話ができる人にとっても、日常で使う言葉ではないので、分かりにくいようです。
さらには、同じ音なのに、まったく逆になってしまう言葉もあります。「ふつう」と言われたら、当たり前とかいつも通りと理解しますが、災害時使われる「ふつう」は逆。「九州自動車道はふつうです」「JR鹿児島本線はふつうです」。災害時は、私たちはこの言葉を「不通」に置き換えることができますが、そういう状況を体験していなかったら、「ふつう」と聞いて「普通」と解釈するのは当然と言えるのではないでしょうか? 実際に「〇〇線はふつう」と聞いた外国人が、高速道路のインターチェンジや駅まで行って、初めて通行できない、列車が止まっていると知ったという例があります。

以上の点から、外国人は災害時、適切な情報を伝える必要があったり、情報内容の伝達に工夫が必要な要援護者というわけです。

災害と多文化共生Ⅱ ~ 災害時の外国人支援 ~

災害と多文化共生Ⅲ ~ 地域における多文化共生 ~

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2017.05

 
   

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